七夕伝説に登場する牽牛は、古代中国文化圏では中華皇帝とみなされていました
日本では天空の恋物語の悲劇的主人公として知られていますが、殷や周といった古代中国で既に伝説と化していた、超古代伝説の地上統治者だったのです
西暦400年頃に作られた北朝鮮平壌近郊の徳興里古墳の壁画は、南側の天井に描かれており、牽牛が水域の東に戻ったことを示唆しています
変色しているものの、牽牛は黄色い服を着用して描かれています。中国文化圏の歴史的習わしとして、黄色い服は中華皇帝の証であり、皇帝以外着てはならないものです
七夕は東~東南アジアにかけて、少なくても20億人に親しまれている伝説です。実体のない単なる空想上の御伽話だったのでしょうか
それとも、実際にそのような出来事が地上であり、それが天空に投影されて神話化されたものなのでしょうか
牽牛が日本に実在した痕跡を、中国と日本の史書から拾い集め、一つのストーリーとして繋ぎ合わせました
さらに、遺伝学や考古学、地球物理学といった学問の成果を加えて、牽牛がいつからどの範囲の統治者だったのか考察したところ、現生人類Homo Sapiensがアフリカで生まれた頃から、地上全体を率いるリーダーだった可能性に辿り着いたのです
現生人類が辿りうる最大の時間幅と地理的広がりを持つ、古代神話と最新学問の融合作品『新釈 七夕物語』の世界へご案内いたします